男体山~鷹取岩・梅雨時の花 [登山]
深山スカシユリという花が有ります。この花は埼玉県・茨城県・岩手県の限定された山地に生育する、高さ20~60cmの多年草です。洋岸に咲くスカシユリから分化し、山地生となった変種とされています。
埼玉県の武甲山で発見されたので、学名が bukosanense となっています。石灰岩地を好みますが、武甲山では山の形が変わるほどの大規模な石灰岩の採掘が行われており、絶滅に近い状態であるようです。
茨城県では奥久慈などの山地に散在していますが、いずれも人や動物が近づけない断崖絶壁にのみ残っています。古くから園芸目的や食用で採取されたり鹿の食害にも遭い、人や動物が近づける場所ではほとんどなくなってしまっているようです。
奥久慈ではこの深山スカシユリが見頃になっているという話を聞き行ってみる事にしました。
2023/07/04の朝、前回のニッコウキスゲと同じく滝倉トンネルから健脚コースに入っていきました。
展望岩では高塚山がすぐ近くに見えてました。天気はいいですが霞んでます
カマツカの実が膨らんでました。幹を鎌の柄の材料にしたことによる命名だそうです。
東屋の気温は20度でした。縦走路を歩いて祠からの眺めもいまいちでした
ヤマボウシに代わってクマノミズキが花盛りでした
男体山に着きました。暑さが堪える風景です。凍らせてきたペットボトルの水でアイスコーヒーを作りました。美味しくてがぶ飲みしてしまいました
一般コースを下りていくと遠くの絶壁に一輪咲いていました かなり拡大してます。この山には猿はいませんが、居ても近寄れませんね。
涼しげな大円地越が見えてきました。でも気温は22度、暑いです。
櫛が峰方面に登っていくと梅花ツツジが咲いていました 小型の花冠の様子が、ウメの花に似ているから名付けられたようです。
梅花ツツジを知っている登山者は少ないと思います。その理由は
①登山者が少ない梅雨時に咲くため見る機会が少ない。
②ツツジ属としては直径2cmと花が小さくパラパラとしか咲かない。
③葉が展開した後に隠れるように斜め下を向いて咲くため見つけにくい。
と云うことです。
この3つの理由には関連性が有ります。雨が降ると花粉や花蜜が流されてしまうため、梅雨時に咲く花は少なくなります。この事は逆に花粉を運んでくれる昆虫を独占できることになります。花が小さいのは雨に打たれる面積を小さくするためです。また葉の下に咲くのは葉を雨傘のように使っているからです。
小さく目立たない梅花ツツジは、わざわざ梅雨時に咲くひねくれものとも言えます。しかし梅雨時に咲く花がまったくなければ、花の蜜を吸う昆虫も死んでしまいます。自然は色々なものが 関係しあって生きていて、多様性が重要なのです
花をマクロで撮影していると、いきなりミツバチが入ってきました。まさにこの時期の貴重な花を見つけて飛んできたのでした
あの男体山の急峻な岩崖にも深山スカシユリが数輪咲いてました。
探しながら歩いていくと割と至近で見られるところが有りました
上を向いて咲く姿は高貴さを感じてしまいました
入道岩から鷹取岩を眺めました。あの絶壁にも数輪咲いていました。良くあんなところにと思ってしまいます。
鷹取岩から男体山をを眺めました。入道岩も随分違った顔になることに気が付きました。あそこを登った方もいるようです
フジイ越に戻って下りていきました。曽根の岸壁下で見上げるとここにも一輪咲いていました
途中で見かけた花を紹介します。
ウチョウランが一株だけ残っていました。
クサアジサイです。草本でアジサイのような花が咲きます。
ジャコウソウです。葉に触れると指に芳香が移ります。
今回歩いたルートです。前回のニッコウキスゲ鑑賞と同じルートをたどってみました。梅雨の晴れ間でしたが誰にも会わなかったのは意外でした。暑さを敬遠したのかもしれませんね。
低山ですが季節を変えて色んな花が見られ、深山スカシユリのような貴重な花も見られる山です。梅花ツツジも初めて見る事が出来ました。この山域の魅力を再発見できました。
それにしても梅雨時に咲くこの2つの花は対照的な咲き方をしているようです。これも自然の多様性によるものでしょう。此方の理由も知りたくなりました。
埼玉県の武甲山で発見されたので、学名が bukosanense となっています。石灰岩地を好みますが、武甲山では山の形が変わるほどの大規模な石灰岩の採掘が行われており、絶滅に近い状態であるようです。
茨城県では奥久慈などの山地に散在していますが、いずれも人や動物が近づけない断崖絶壁にのみ残っています。古くから園芸目的や食用で採取されたり鹿の食害にも遭い、人や動物が近づける場所ではほとんどなくなってしまっているようです。
奥久慈ではこの深山スカシユリが見頃になっているという話を聞き行ってみる事にしました。
2023/07/04の朝、前回のニッコウキスゲと同じく滝倉トンネルから健脚コースに入っていきました。
展望岩では高塚山がすぐ近くに見えてました。天気はいいですが霞んでます
カマツカの実が膨らんでました。幹を鎌の柄の材料にしたことによる命名だそうです。
東屋の気温は20度でした。縦走路を歩いて祠からの眺めもいまいちでした
ヤマボウシに代わってクマノミズキが花盛りでした
男体山に着きました。暑さが堪える風景です。凍らせてきたペットボトルの水でアイスコーヒーを作りました。美味しくてがぶ飲みしてしまいました
一般コースを下りていくと遠くの絶壁に一輪咲いていました かなり拡大してます。この山には猿はいませんが、居ても近寄れませんね。
涼しげな大円地越が見えてきました。でも気温は22度、暑いです。
櫛が峰方面に登っていくと梅花ツツジが咲いていました 小型の花冠の様子が、ウメの花に似ているから名付けられたようです。
梅花ツツジを知っている登山者は少ないと思います。その理由は
①登山者が少ない梅雨時に咲くため見る機会が少ない。
②ツツジ属としては直径2cmと花が小さくパラパラとしか咲かない。
③葉が展開した後に隠れるように斜め下を向いて咲くため見つけにくい。
と云うことです。
この3つの理由には関連性が有ります。雨が降ると花粉や花蜜が流されてしまうため、梅雨時に咲く花は少なくなります。この事は逆に花粉を運んでくれる昆虫を独占できることになります。花が小さいのは雨に打たれる面積を小さくするためです。また葉の下に咲くのは葉を雨傘のように使っているからです。
小さく目立たない梅花ツツジは、わざわざ梅雨時に咲くひねくれものとも言えます。しかし梅雨時に咲く花がまったくなければ、花の蜜を吸う昆虫も死んでしまいます。自然は色々なものが 関係しあって生きていて、多様性が重要なのです
花をマクロで撮影していると、いきなりミツバチが入ってきました。まさにこの時期の貴重な花を見つけて飛んできたのでした
あの男体山の急峻な岩崖にも深山スカシユリが数輪咲いてました。
探しながら歩いていくと割と至近で見られるところが有りました
上を向いて咲く姿は高貴さを感じてしまいました
入道岩から鷹取岩を眺めました。あの絶壁にも数輪咲いていました。良くあんなところにと思ってしまいます。
鷹取岩から男体山をを眺めました。入道岩も随分違った顔になることに気が付きました。あそこを登った方もいるようです
フジイ越に戻って下りていきました。曽根の岸壁下で見上げるとここにも一輪咲いていました
途中で見かけた花を紹介します。
ウチョウランが一株だけ残っていました。
クサアジサイです。草本でアジサイのような花が咲きます。
ジャコウソウです。葉に触れると指に芳香が移ります。
今回歩いたルートです。前回のニッコウキスゲ鑑賞と同じルートをたどってみました。梅雨の晴れ間でしたが誰にも会わなかったのは意外でした。暑さを敬遠したのかもしれませんね。
低山ですが季節を変えて色んな花が見られ、深山スカシユリのような貴重な花も見られる山です。梅花ツツジも初めて見る事が出来ました。この山域の魅力を再発見できました。
それにしても梅雨時に咲くこの2つの花は対照的な咲き方をしているようです。これも自然の多様性によるものでしょう。此方の理由も知りたくなりました。
2023-07-08 16:36
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コメント(13)
先輩は博学ですねぇ。博士と呼ばせて頂きます。^^
深山スカシ百合、梅花ツツジ、どちらも素晴らしい希少種ですね。
意外と近場に面白い花は存在するので、それはそれで老後の楽しみに致します。^^
by のら人 (2023-07-08 19:34)
お早うございます、崎津資料館(みなと屋)に
コメントを有難うございました。
実物は撮影禁止でパネルの写真でしたが、
大切に扱われていたことが分かるものばかりでした。
スカシユリは断崖に良く咲くんですね、
他にも、野草の花がきれいです。
by お名前(必須) (2023-07-09 10:26)
深山スカシユリ、至近で見るのは命がけ?
お元気で何より
by asa (2023-07-09 11:27)
皆さん、niceやコメントありがとうございます。
のら人さん
コピペ博士と呼んでください^^
この山域にはいろんな花が咲きます。
詳しく調べていくと興味津々です。
いい老後の楽しみになってます。
tarouさん
パネルの写真でしたか、それでも隠れキリシタンの生活が偲ばれる資料群ですね。
スカシユリは断崖に咲きます。もとは平地に自生していたのかもしれませんが、盗掘、食害等で追いやられたのだと思います。
低山ですが色んな花が見られる山域です。
asaさん
深山スカシユリは至近で見るのは命がけです。
でも探していけばそこそこの距離で鑑賞できる場所も有りました。
by tochimochi (2023-07-09 19:57)
武甲山で見られれば見に行きたいですが
期待できないみたいですね。
勝手なもので、希少となると
何とか見たくなってしまいます。
by nousagi (2023-07-10 21:21)
今回も貴重な花々の紹介、ありがとうございます^^。
深山スカシユリは確かに上を向いて咲いて、海辺に咲くスカシユリに似てますが、すごい所に咲くんですね~。梅花ツツジも珍しいですが、ウチョウランはまだ見たことがありません。とても綺麗な色で、素敵な花ですね。ジャコウソウもこの辺では見られません。北茨城方面にも珍しい花々が咲いて、機会があれば登ってみたいですね~(^^♪。
by drumusuko (2023-07-11 11:10)
nousagiさん
武甲山は地元ですよね。
でも絶滅に近いらしいですからね。
drumusukoさん
深山スカシユリは凄い絶壁に咲いてます。
至近で見るのは命がけですが、探していると割と近くで見えるところも有りました。
梅花ツツジも始めてみましたが、咲く理由を調べると興味深いものが有りました。
ジャコウソウは一般的な花と思っていましたが、御地では見られませんか。芳香が素敵な花です。
by tochimochi (2023-07-11 11:56)
いいコースですね、自然も花も素敵なところで。スカシユリに、バイカツツジ、ウチョウラン、ジャコウソウ、・・と珍しいものが待っていてくれるんですね。バイカツツジはを一度見ただけです。その理由が、梅雨時に咲く花というのは知りませんでした。
by michi (2023-07-12 07:02)
michiさん
季節を変えて色々な花が咲く山域です。
珍しい花にも出会えるのが魅力です。
バイカツツジは中々見る機会が有りませんね。その理由を調べてみると興味深い物が有りました。
by tochimochi (2023-07-12 20:15)
スカシユリ鮮やかな花に元気を貰えました!ちまたは今日から3連休ですが、外出せず家でクーラーを効かせながら大人しく過ごしていようと思っております。西日本・関東は梅雨明け宣言が出ますね。明日から40度近い猛暑になるとのことでうんざり・・
by ローリングウエスト (2023-07-15 10:42)
ローリングウエストさん
スカシユリは至近で見るのは難しいですが、今回は割と近くで見ることができました。
凄まじい猛暑ですね。外出は憚られます。
梅雨明けは持ち越してますね。でも今週中には明けるのでしょう。
by tochimochi (2023-07-17 20:34)
猛暑の3連休が終わっても酷暑・激暑・炎暑でウンザリですね~!今日は全国のどこかで40度が記録されるのではないかと思います。西日本・関東は完全に梅雨明けしている筈なのに何故に宣言が出ないのでしょうか?気象庁はもうタイミングを逃して振り上げた拳が下せないんでしょうね・・(苦笑)
大学サークル山仲間とのOB会(2泊3日・福岡大会)の最終編記事を公開していますのでまた覗いてみて下さい。
by ローリングウエスト (2023-07-18 13:52)
“バイカツツジは見る機会が有りませんね。その理由を調べてみると興味深い物が有りました”・・・・何か訳があるんですね。興味が出てきましたよ。
by michi (2023-07-20 05:34)